「丁寧な個別対応」の具体的なお話

私はNTT時代から、現在もポリシーとして変わらず続けていることがあります。それは「丁寧に対応する」ということです。きっとこの記事をお読みになっている組織で働く人事部の方、上司として部下を持つ方にとっては至極当然で当たり前のことだと思います。それでも、私はあえて「個別面談を実施するなら、何をおいても丁寧さを心がけるべき」と声を大にして伝えたい、そんな思いを込めて文章を書いています。

では、何を持って丁寧というのか?

実際に私がやっていたことは、一人一人に対しての「声かけ」「教育」「意識づけ」をタイミングを計って、その人にとって効果的な言い方も含めて「何を言うか」までをチューニングして、個別対応する、ということです。以下は、初めて人事担当になったときに取り掛かった3つのことです。

1)人事情報としてまとめてある書類で全社員を確認
2)できれば全員面談。書類上気になった人がいれば面談必須
3)独自の面談ポイントをまとめて、頭に情報を叩き込む

1)書類で確認

出身、最終学歴、入社動機から、現在の部署で行われた個別面談シートから見える現状と今後の目標までを全員チェックしました。もちろん、書面上だけではわからないことがほとんどですが、書面を確認しないことには何も始まりませんので、人事担当に着任してすぐに部署全員の情報を隅々確認しました。

2)個別面談

若手社員200名全員の面談を1年かけて実施しました。実際に会って、現在の考えや今後の展望について話を伺いながら、書類上ではわからないことを独自にまとめました。たとえば、その人の特性やモチベーションのツボ、繊細なのか、図太いのか、細かいのか、大雑把なのか、など、様々な項目を作り、悩みから趣味の話など細かい話題も含めて、面談後に一人ずつデータにしてまとめました。

3)情報を記憶

当時は担当課長という立場だったのですが、当時の上司である部長から1社員について情報を聞かれたら、出身学校から生い立ち、知っている限りのプライベート情報、大まかな性格まで伝えられるようにしていました(部署およそ500名分)。

この3つのプロセスを通して得られたのが、社員たちとの「関係性」でした。当初は一人から情報を1つ引き出すのも苦労していましたが、関係性ができてしまったら、むこうから相談してくれたり、情報を上げてくれたりして、とてもありがたく感じたものです。これが、細かく丁寧に対応することで得られる、実を結ぶ瞬間ではないかと思っています。

また、注意していたのは、面談で「何かあったら、いつでも連絡してください」と伝えたものの、実際に相談メールが来たら忙しさにかまけて対応せずにいる、という状態は決して作らないように尽力していました。

とはいえ、日々の業務もあるので、忙しくてすぐに対応できない時もあります。その時は、すぐに対応できない理由を丁寧に説明し、「今日の●時から10分程度でよろしければお話伺いますが、いかがでしょうか?」など、いつでも最優先にしているという誠意を持って対応していました。

結果として、私は人事担当課長から離れる時に「課長は、わたしたち1人1人を見てくれていたなと思います」と言われたり、色紙にも「心強い存在でした、ありがとうございました」などと書いていただけたのだと思います。

次回は、そんな丁寧な対応が土台にあった上で対応しなければならない「難しい配置換え」についてお伝えします。