人に行動してもらうコツ

個別コンサルティングでこんな相談を受けました。

「部下に指示を出したのですが、思うように動いてもらえません。人に行動させるって難しいですね。コツを教えてもらえないでしょうか。」

確かに、相手を自分の考える通りに行動してもらうということは難しいことです。とはいえ、人材育成担当者や、チームマネジメントが必要な管理職の方にとっては、重要な課題でもあるかと思います。では、人に行動してもらうには、どのようなコツが必要でしょうか?

意義を見いだせるかどうか

一言でいうなら、「その仕事に意義を見出しているかどうか」であると私は考えています。
仕事に取り組むという行動の結果、自分にとって明確なメリット・リターンがあることを把握し、理解しているのであれば、自律的に行動します。

成果にコミットするための意識の醸成

私はしなやか女性リーダー養成講座という塾の中で、塾生に対して「行動しましょう」と声かけをしています。もちろん、講座内で行動を促す仕掛けを施していますが、必ず塾生のメリットを伝え、どのような成果を手にできるのかを塾生との間で意識を醸成させるよう関わっています。もし、塾生自身が行動の意義を見出せないまま行動してしまうと、成果につながりづらかったり、言われたから行動するという形骸化された行動で終わってしまう可能性が高いからです。私は、成果につながることにコミットしているので、そのために今なぜこの行動が必要か?ということを塾生に腹落ちさせることを最優先しているのです。

腹落ちさせるには、良質な情報提供が必須

仕事の意義をしっかりと腹落ちさせれば、行動につながりやすいとお伝えしましたが、では相手が心から納得するために必要なことは何でしょうか?

私は、これまでNTTで26年間働き、女性管理職10年、人事3年の経験、そして会社を立ち上げ社員を雇い、共に事業に取り組む中から得た結論としては、社員や部下が納得した形で仕事を進めるため最も重要と思うことは「情報の提供」だと感じています。さらに、その情報の質にもこだわる必要があると思います。

会社が求めること、上司の視点まで伝える

ただ情報を提供するのみでは、社員や部下はその意義を感じるに至りません。会社が事業や取り組みを通して何を実現したいのか、そのために社員に何を求めているのか、仕事の背景やそれに対する思いまで情報を伝える必要があります。実際に業務を行う担当者が、それらの情報をキャッチして、会社が考えるレベルと同じくらいの意識合わせをするためには、より多くの情報を与えなければ意義を感じることは難しいものです。

大抵の場合ですと、「部下が動いてくれない」「やると言ったのに、やってくれない」と悩む管理職の方は、自分が持つ情報と同じ量と質の情報を部下に与えきれていないということが考えられます。

私の事例ですが、先日、今後の事業計画や事業への想いについて改めて社員とじっくり語り合いました。これまでの売上、経費、そして今後の目標・・すべて洗いざらい社員に共有したのです。その日以降、社員の意識レベルはさらに向上し、経営者である私に近い感覚で事業を捉えた言動が増えたと実感している今日この頃です。

もちろん、伝えていい情報と、そうでない情報の取捨選択はあるかと思いますが、NTT時代から自分が把握して出せる情報は全て部下と共有してきて、自分の考えや仕事に取り組む視点や姿勢まで、細かに共有することで、自分の想像を上回るアウトプットが出る経験を何度も繰り返してきたこともあり、今回も同様に社員と共有した次第です。

日々の業務で多忙を極めると、情報共有する時間もなくなり、ついつい、「悪いけど、これやっといて」と指示だけ出してしまうこともあるかもしれません。しかし、それでは人は動きません。仕事の背景や経緯、今なぜこの仕事の対応が必要なのかを丁寧に伝えることが、人が動いてくれる大切なプロセスだと私は考えています。

ここまでしっかりと対応ができれば、あとは社員や部下が動くのを信じて、必ず実行し達成するポテンシャルがあると信頼して、待つのみです!

相手が同じ目線で考え、同じ視座を持って行動し、成果に繋げてくれる姿を見るのは、私にとって無常の喜びです。この喜びは、マネージャーの醍醐味だと思いますし、何より、部下の持つ力を引き出すための関わりをするのが、管理職として最も重要な仕事のひとつだと私は考えています。