【事例】在宅勤務導入で生産性UPと離職率削減を実現

先日、弊社の女性管理職育成講座(男性も参加可)の卒業生で作る継続実践コミュニティ「インフィニティ・スクエア」において、在宅勤務の話題で盛り上がりました。

話題の中心は、テレワーク導入賛成派と、反対ではないけれど実現は難しいと消極的な意見に分かれたのですが、これまた見事に女性(賛成派)と男性(消極的)の対立という図式となったのです。

男性がテレワークに消極的な理由

現在公開中の女性活躍推進2.0実態調査2019の結果を男女別に見ると、インフィニティ・スクエア内での男女対立と同じ状況が数値としても現れていました。

Q:テレワーク(サテライトオフィス・在宅勤務・モバイルワーク等)を
 利用したことがありますか?


<男性(回答者732人)>
ある:6%
ない:47%
そもそも制度がない:46%


<女性(回答者526人)>
ある:19%
ない:39%
そもそも制度がない:42%

株式会社リノパートナーズ調べ「女性活躍推進2.0実態調査2019」より

男性のテレワーク利用者は、女性の利用者の3割程度にとどまっており、

「テレワークでは仕事が成り立たない」
「複数で共同作業が必要なため利用したくてもできない」

という声が多数を占めています。

実際にテレワークで働いた経験がなく、その必要性を感じていない傾向が見られる男性の管理職にとっては、在宅勤務や時間短縮勤務の導入を難しく思ったり課題感を感じやすいことがこの結果からも伺えます。

社員全員が時短&在宅勤務で生産性UP

私が人事役員として関わったベンチャー企業では社員・スタッフ全員が時間短縮勤務&テレワークの体制で滞りなく業務をこなして成果を上げていました。

この企業でも、当初は勤務時間に出社するスタイルでしたが、以下の2点をきっかけに自然と柔軟な働き方へシフトしました。

・女性のみの組織構成
・全員が子育て世代に突入

一時的に女性社員のみの構成になった時期と、子育て・出産のタイミングが重なり、常に誰かが妊娠・出産、そして子育てで時間が限られたりそもそも出社できないという状況が発生しました。

経営者も社員と同世代の女性だったこともあり、限られた時間で生産性高く働かないと、誰一人働けないという環境下だったのです。

つまり、

「テレワークが行える仕事じゃない」
「複数で共同作業する仕事だから無理」

といった理由はそこになく、前提として

「どうすれば在宅勤務できるか」
「どうやってみんなで成果をあげるか」

という発想が起点となっていたことが、柔軟な働き方を実現できた勝因であると
私は分析しています。

実際に、このベンチャー企業はテレワークと時間短縮勤務の導入によって、導入前より半分の人員体制で売上を5倍近くアップしていました。

ツールの導入でより働きやすく

柔軟な働き方へシフトするためにはツール利用も欠かせません。

最近では主流になってきた「Zoom」というビデオ・Web会議ツールを前述のベンチャー企業はいち早く導入して、在宅勤務者はZoomにログインして必要なときに必要なスタッフ同士がミュート解除してコミュニケーションを取っていました。

さらに、日中は子育てで時間が思うように取れないので、子どもを寝かしつけた後、夜間30分だけWeb会議を行うなど、様々な工夫をしながら業務の効率化を図っていました。

どんな業種の組織でも、その場に人がいなくても対応できる仕組みを考えようと思えば、たとえば会社ホームページでFAQの対応を強化したり、業務の自動化をお客様へ提案してコスト削減へつなげる等、お互いにwin-winになる発想の転換が必要です。

このように、ITを導入することでテレワーク実現の可能性は広がると私は考えています。

安心して長く働ける環境を育む「業務改善」

時間短縮勤務やテレワークといった取り組みに自ずとついて回るのが「業務改善」です。

限られた時間だからこそ、自然と先回りして業務をこなすことが常となり、最小限のやりとりで作業を完了させる流れを見出すことにつながります。

業務改善によって、仕事に関わる人数が少なくなったり、連絡をもらう数が減れば、フレックスタイム制度等を利用しやすくなり、誰でも必要なときに働きやすい方法を選択できるという働く幅が広がるのではないかと思います。

私自身が、社員全員時短&在宅勤務のベンチャー企業の中で共に業務に当たっていたときに特に素晴らしいと感じていたのは、

「厳選されたコミュニケーションによる業務改善」

これが日常化されていたことです。

普段在宅勤務なので、無駄なおしゃべり等はありませんので気持ちに余裕を持った状態で集中して仕事に取り組めました。結果として短い時間で生産性高く仕事をすることにつながっていたと感じています。

また、限られた人数で複数の事業を運営するのが当たり前のベンチャー企業では、互いの業務内容を共有しているので、誰かが急な休みを取ってもフォロー体制が整っており、顧客サービス品質を保持しながら、社員も安心して働き続ける環境を両立させていました。

特にサービス業では、サービス品質を向上させるための日々の積み重ねが重要です。サービス品質を追及するためにはスタッフの経験値や長く関わることで蓄積されるノウハウが必須であり、すぐに人が辞めてしまうような職場環境では他社との差別化も図れないのではないかと思うのです。

最初の一歩は、制度利用前提の発想から

私が26年間務めた大企業は、かなり初期段階で全社的に在宅勤務の仕組みが導入されていました。

ITを駆使して、これまで会社でしかできなかった業務を
セキュリティを確保して自宅で実施することを実現していたのです。

もし、思うようにテレワークが導入できない、現場が在宅勤務をためらっている、といった職場環境であるなら、

「テレワークで生産性を上げるために、どうすればいいか」

という発想から考えることから始めていただければと思っています。

例えば、柔軟な働き方の必要性に迫られている人たちが集まって、まずは少人数で業務改善に向けた話し合いをするところからスタートするのでも良いでしょう。

「出社しなければ、できない仕事」

であればあるほど、じゃあテレワーク実現のために何ができるだろう?と考えることに挑戦する価値はあると思います。思い込みを外して考えることで、新たな働き方が見えてくることがあるかもしれません。

働く人と、取引先に選んでもらえる会社であるために

私が人材育成コンサルティングで関わらせていただいている企業様の9割が在宅勤務やフレックスタイム制を導入または試験運用を実施しています。

今後、柔軟な働き方がますます求められる時代となる中、「うちの仕事は在宅は無理ですよ」という企業は働き手市場からも取引先企業としても選ばれづらくなるかもしれません。

私は、働く人全てが柔軟な働き方を選択しなくても良いと思っています。

とはいえ、必要なときに、必要な人が柔軟な働き方をチョイスできるような環境を整えることが結果として会社の成長をもたらすことにつながっていくのではないかと考えています。